WG2: 化学特性

職 務

地盤工学会では主に「土の力学」を取り扱う上で必要とされてきた土の物理的性質および力学的性質の解明に必要とされる試験法が整備されてきた。なかでも、化学試験法は土の基本的性質を理解・評価する上で重要であり現在、6つの試験法が整備されている。

近年では地盤環境に関する研究成果が地盤工学研究発表会、地盤環境工学シンポジウムで発表され化学的見地からの地盤の安全性評価が注目されてきている。このように、地盤環境に関する地球規模の環境問題が重要な課題となっており、その中で土の化学的性質を把握することは質的、量的な課題解決に重要となっている。「土質試験の方法と解説」には土の化学的性質として以下の諸点が重要な検討項目として挙げられている。

@ 土粒子に関する鉱物的取り扱い、
A 土粒子以外の物質、例えば有機物などの化学的特性
B 間隙流体の化学的特性
C 土粒子と間隙流体との物理化学的相互作用、特に粘土−水系の相互作用
D 土中構造物への土の化学的性質の影響
E 地盤改良効果への土の化学的性質の影響

さらに、地盤環境問題に対する社会的必要性を満たすには以下の項目の評価方法の整備が求められている。

F 土中の陽イオンや陰イオン含有量、特に陽イオン交換容量などの試験
G 土中の微量成分としての重金属含有試験、溶出量試験
H 土中の有機物質の同定、特に有機塩素系物質や油脂類、炭化水素物などの含有量試験
I 地盤汚染調査におけるサンプルの取り扱い、それぞれの調査対象地盤条件に則したサンプルの前処理方法と試験項目の選定

これら@からIまでの評価が求められている土の化学的性質の把握に対して、現状の6項目の化学試験法では十分であるとは言い難い。

土壌汚染対策法の施行等、急速に進む社会的ニーズに則した化学試験を全面的に整備するに当たり、その内容として必要とされる各試験項目をどのようなものとするか具体的な内容を検討する事を目的とし、地盤材料の化学試験基準化検討委員会の設置を提案したい。なお、岩や掘削ずりを対象としたニーズを意識して、地盤材料の化学試験検討委員会という名称としたい。

なお、本委員会によって整備が必要とされた各試験法については、それぞれ個別に各試験法検討委員会設置の如何を基準部会に審議頂き、設置するものとする。

・ 活動期間
   平成17年4月1日〜平成19年3月31日

 

委 員

グループリーダー 川地 武 滋賀県立大学環境科学部
グループ幹事 川口 正人  清水建設(株)技術研究所
委員 今村 聡 大成建設(株)技術センター
委員 勝見 武 京都大学大学院地球環境学堂
委員 貴田 晶子 国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
委員 坂井 宏行 財団法人鉄道総合技術研究所環境工学研究部
委員 肴倉 宏史 国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センター
委員 白木 音信 協同組合 関西地盤環境研究センター 環境技術課
委員 田中 治夫 東京農工大学大学院共生科学技術研究部
委員 田野崎 隆雄 太平洋セメント(株)中央研究所
委員 野田 典広 基礎地盤コンサルタンツ(株)環境部
委員 宮口 新治 応用地質(株)技術本部コアラボ試験センター
委員 和田 信一郎 九州大学大学院農学研究院

 

 

委員会議事録

平成18年度第3回委員会議事録

 

お知らせ

地盤材料の化学試験に関するアンケートへのご協力のお願い

(社)地盤工学会基準部会室内試験規格・基準委員会化学特性ワーキング
主査 川地 武

土質試験法の一部に化学試験が取り入れられて40年が経過いたしました。化学試験から得られるいろいろな情報は土質の横顔を評価する上で重要なものとなっております。化学試験の目的、試験の項目、試験方法も、その時代のニーズを取り入れて変遷を経ており複雑かつ高度なものになってきています。また、国際調和の動きにも配慮する時代となってきました。(社)地盤工学会では今後の化学試験の方向を探るため、試験に関するニーズや試験方法のレベル、グレードさらには試験方法の習得やデータの取扱いの為の教育も議論の対象としております。そこで、地盤材料の化学試験に対する皆様方の運用実態、ニーズやお考え等を広く収集し、今後ユーザーに積極的に活用される基準を検討していきたいと考えております。つきましては、日頃から地盤材料の試験・評価に携わっております皆様方によりまして本アンケートにお答え戴きたくよろしくお願いいたします。 
*アンケートは終了いたしました。ご協力ありがとうございました。

○詳細&アンケート用紙(word)