人工砕石材料や自然の礫質土などの砂礫材は実務で非常に多く扱われるが、その力学的性質については未だに十分な解明が進んでいないのが現状である。砂礫材は純粋に礫だけからなる場合はまれで、一般に礫とともに砂、細粒分も含んだ広い粒度分布を有する土である。自然状態にある多くの礫質土の密度は砂などに比べてかなり大きく、このような地盤は十分な支持力を有している。一方、緩く堆積した沖積の礫質地盤や埋立地盤が地震時に液状化し、地盤沈下や側方流動を引き起こした例が最近いくつか報告されており、きわめて緩く堆積した状態では不安定になることを意味している。このように、砂礫は密度や粒度による性質の変化の度合いが砂より著しいことが特徴である。この点や粒子の大きさによる調査・試験の困難さが礫質土を取り付きにくくしてきた主要因である。
地盤工学会では平成13年度から「砂礫の最小・最大密度試験方法検討委員会」を発足させ、「礫質土の力学特性に関する研究委員会」の最小・最大密度一斉試験をふまえ規定した標準試験法案に基づき、共通砂礫材料を用いた一斉試験を17機関の参加を得て行った。試験結果に基づき基準化の妥当性を検討した結果、異なる試験者、試験方法を考慮した場合も、ばらつきの少ない最小・最大密度データが得られることが明らかになった。また、抽出されたいくつかの問題点について委員会内部にて追加試験を行い、試験方法の詳細がほぼ確立された。これらの実績から砂礫の最小・最大密度試験方法の基準化は可能との見通しが得られた。
砂に比べて砂礫の試験法は、試験試料の選定、粒度範囲の広さからくる分級し易さ、礫粒子の破砕性など配慮すべき項目は多いが、砂礫の力学特性を評価する上での有用性と既にいくつかの異なる試験法による評価が実務でも行われている現状を考えると、早急に試験法の標準化に取り組む必要がある。以上のことから、ここに砂礫の最小・最大密度試験方法基準化委員会の設置を提案することとしたい。
なお、委員会の主要な活動内容としては,1.「砂礫の最小・最大密度試験方法検討委員会」での一斉試験結果に基づく基準案の作成とその英訳
2.小冊子の刊行などを行う。
・活動期間
平成16年4月1日〜平成18年3月31日
委員長 國生 剛治 中央大学理工学部土木工学科 副委員長 畑中 宗憲 千葉工業大学工学部建築学科 幹事 原 忠 中央大学理工学部土木工学科 幹事 小林 豊 日本工営(株)中央研究所 委員 稲垣 太浩 中日本高速道路(株)金沢支社 委員 工藤 康二 (財)電力中央研究所 地球工学研究所 委員 桑島 孝暢 (独)水資源機構総合技術推進室 委員 向後 雄二 (独)農業工学研究所 造構部構造研究室 委員 後藤 茂 清水建設(株)技術研究所社会基盤技術センター 委員 木幡 行宏 室蘭工業大学工学部建設システム工学科 委員 酒井 運雄 基礎地盤コンサルタンツ(株) 委員 佐藤 弘行 (独)土木研究所水工研究グループ 委員 下村 幸男 日本工営(株)中央研究所 委員 関根 悦夫 (財)鉄道総合技術研究所軌道技術研究部 委員 田邉 成 東京電力(株)工務部送変電建設センター土木グループ 委員 ハザリカ ヘマンタ 独立行政法人 港湾空港技術研究所 地盤・構造部 委員 山田 祐樹 (株)大林組技術研究所地盤岩盤研究室 委員 村山 邦彦 (株)アイ・エヌ・エー筑波研究所 旧委員 小濱 英司 (独)港湾空港技術研究所 地盤・構造部 旧委員 小宮山 茂樹 東京電力(株)送変電建設部送変電技術センター 旧委員 佐藤 信光 (独)水資源機構技術研究研修センター