会長挨拶

会長就任のご挨拶

2018年6月


第35代会長 大谷  順
熊本大学

 本年6月6日の総会において、第35代地盤工学会長を拝命し、村上 章第34代会長を引き継ぐことになり、2020年6月までの2年間、その職務を務めることになりました。 歴代の会長、また諸先輩方が残された多くの実績を思うと、かなりのプレッシャーを感じますが、誠心誠意を持って運営していく所存です。会員の方々のご支援は不可欠となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。 

 私は正会員になって30年になります。これはちょうど平成年間とほぼ同時期です。その間、学会名が土質工学会から地盤工学会、会誌が土と基礎から地盤工学会誌、Soils and Foundationsが完全英語化しElsevierをpublisherに指定、加えて最大の変化は、現在地盤工学会が公益社団法人であることです。 また地盤工学会は国際地盤工学会(ISSMGE)のメンバー学会でもありますが、これについても4年に一度の世界会議(ICSMGE)を一度(2005年:大阪会議)、またアジア地域会議(ARC)を二度(1987年:京都会議、2015年:福岡会議)開催しています。以上は、順調に国内外に対し、学会のプレゼンスを発揮してきたと言えます。しかしその間、会員は減少傾向にあり、昨年度末では9500余名となっており、他学会の状況に違わず、会員の高齢化に加えて若手会員の減少が認められることも現実として受け止める必要があります。

 私自身のこれまでの地盤工学会における活動については、もちろん、所属する九州支部からの派遣委員として、最初は学会誌の編集委員や調査部員等、いくつかの仕事をさせていただきました。 その後は、どちらかというと国際部での仕事が多く、九州支部会員を主体として1988年から2007年まで5回開催した地盤の補強に関する国際シンポジウム(IS Kyushu)の開催、またその後もいくつかの国際研究集会を開催する機会をいただき、最近では、上記でも紹介した第15回国際地盤工学会アジア地域会議において、実行委員長を務めさせていただきました。これらに於いて多くの会員の方々と一緒に活動できたことは、今日の私自身の形成に多大な影響をもたらしていることに疑う余地はありません。

 これまでの私自身の経験や現在の学会が置かれている現状を基に、任期中に取り組む方針について、以下の3項目を考えています。

1)地盤工学会の国際的プレゼンスを高める活動
2)国土強靭化に資する技術開発と防災・減災技術の推進
3)地盤工学会の社会的地位を確立すべく社会貢献

 まず1)についてですが、ISSMGEにおける地盤工学会のプレゼンスをより一層高めることは当然ですが、それを後押しする活動、すなわち以前各支部で開催していたISシリーズ(1988年のIS Kyushuより開始)のような国際的情報発信の場の重要性を痛感しています。これにより各支部の収支バランスや広域的な人材育成の可能性が考えられます。大事なのはその際、学会の長期的展望を踏まえて若手が主体となる運営を目指すことです。私が実行委員長を務めた第15回アジア地域会議では若手会員の活躍は目を見張るものがあり、これら若手に対し、世界へ情報発信する場を提供する必要性を強く感じています。これについては、我が国の技術についても世界をリードしているにもかかわらず、世界的認知度は低いと言え、我が国の技術を世界に広めることも重要であると考えています。次の2)については、学会が推進している公益社団法人としての社会貢献をしっかり果たすことです。現在地盤工学会は地盤品質判定士を推進しており、今年2月には国土交通省から宅地防災として初めて登録資格認定を受けました。今後はこの地盤品質判定士を社会へ浸透させることが重要だと考えています。もちろん災害が起こって活動するだけでなく、起こる前に何をしたらいいかという点についても学会として取り組んで行きたいと考えており、その際、新たな技術開発も不可欠となります。最後の3)については、やはり会員数拡大が必須となります。現在進められている若手会員と女性会員数増加に加えて、シニア会員や元留学生および海外からの滞在研究者の学会参加と言った会員の多様化をめざすと共に、その方々の活躍の場を提供することが重要だと考えます。

 以上の三項目は独立ではなく、相互に関係していることは言うまでもありません。地盤工学会としてはこのような活動について、従来から言われていたように、専門学会として土木、建築、農業工学、および応用地質といった多方面の方の学会参画、およびいわゆる産官学、特に官としての国や地方公共団体との強い連携は学会の長期的展望には不可欠だと考えます。最後になりましたが、上記を実現するには、まずは現在におけるパラダイム転換を理解すること、また“Scrap and build”は不可欠となります。新たな施策を講じるためには現存するいくつかの事項を終了させる必要があります。またその継続には“Sustainability of human resources”が重要な役割を演じるとことは間違いありません。

 是非、多くの会員の方のご支援・ご鞭撻をよろしくお願いし申し上げます。