2022年6月
本年6月14日の総会において第37代会長を拝命し,三村衛前会長の後を引き継いで2024年6月までの2年間,その職責を務めることになりました。これまでの諸先輩方のご尽力とその成果の蓄積を考えると身に余る重責ではありますが,地盤工学会が掲げている3項目の目的(学術技術の進歩への貢献, 技術者の資質向上, 社会への貢献)に対して少しずつでも着実に貢献できるよう,微力ながら全力を尽くす所存です。
当面はウィズコロナ対応を堅実に実施しつつ,以下の検討に取組みたいと考えております。皆様の温かいご理解と一層のご指導,ご鞭撻をお願い申し上げます。
まず,学術技術の進歩への貢献に関しては,情報共有と意見交換の場としての学会の諸活動を,これまで以上に活性化させることが肝要です。会員の皆様が整えられたリモート接続環境を,研究委員会等でのオンライン会議開催にも活用させていただくことで,全国からの参加が容易になり,移動時間も含めた経費節減も可能となります。オンライン会議の実施状況を整理し,より効率的な実施に向けて工夫してまいります。
このようなリモート接続環境は,技術者の資質向上のための諸活動にも有用です。各種の講演会・講習会をオンラインで実施する利点は,前述したとおりです。さらに,当日の動画を後日配信することで,興味を持った箇所や理解しにくかった箇所を必要に応じて何度でも見直す・聞き直すことが可能になります。
一方では,対面での情報伝達・共有が望ましい場合も確かにあります。例えば,研究発表会の対面実施は,オンラインでは質問・回答しにくい質疑を直接行い,セッションの合間により詳細な情報を交換することや,交流会で懐かしいかたにお会いして近況報告することなどを可能とします。
そこで,オンラインと対面の使い分けやハイブリッド方式での運用方法について,会議・行事への参加者にご意見を伺いながら,随時見直していく必要があります。なお,これらの運用に関するノウハウや留意点などを本部と各支部間で共有することも重要です。
社会への貢献に関しては,学会の内外で私自身がこれまでに担当・経験してきたことも踏まえると,次に示す各事項の検討が重要であると考えます。
・大地震や豪雨の発生頻度が高い我が国で,ある地盤災害が発生してしまった際には,同様な災害が他でも発生し得るのかどうかが社会的な関心事となります。一般市民向けの関連情報の的確・迅速な発信を,関係学協会とも連携しつつ今後も継続する必要があります。
・地盤災害とその防災・減災関連情報にとどまらず,千差万別な地盤条件とどのように向き合うかについて,一般市民や工事関係者の皆様の理解を深めていただくための一層の努力も必要です。また,国外へも積極的に情報発信することは国際貢献にも寄与します。
・学会誌と地盤工学ジャーナルおよびSoils and Foundationsの完全電子化に引き続き,学会の他の出版物についても電子書籍化を進めることで,購入手続き後の速やかな入手が可能となり,購入者が必要とする情報のキーワード検索も容易になります。印刷物を手元に置いておく需要が高い書籍の場合は,事前予約限定印刷やオンデマンド印刷との併用も考えられます。
木村博規,小高猛司,勝見武副会長をはじめとする理事会,各部・委員会,各支部,および学会事務局のご協力のもとで,以上の検討に取り組んでまいります。