会長挨拶

会長就任のご挨拶

2016年7月


第34代会長 村上  章
京都大学大学院教授

 6月8日開催の第58回通常総会において地盤工学会の第34代会長に選任され,東畑郁生会長を引き継ぎ今後2年間その職務を務めることになりました。もとより浅学菲才の身ではございますが,微力を尽くしたいと思います。会員各位のご指導,ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。

 東畑前会長は国際地盤工学会副会長の職責と合わせ,国内外に強いリーダシップを発揮されました。そのもとで第2回(東京1963年)および第8回(京都1987年)以来28年ぶりの日本開催となった,第15回アジア地域会議を成功裡に成し遂げられるとともに,地震・豪雨災害への対応や学会諸基準の一挙英語翻訳に注力されました。東畑前会長はじめ諸先輩および関係者のご努力に深く敬意と感謝の意を表します。

 地盤工学会は1977年に東京で開催された第9回国際土質基礎工学会議以来,約40年にわたって学術・技術および国際の多面から地盤工学の発展を牽引してきました。これは会員の学会活動を基本とする各種部会・委員会の成果に基づくものであると思います。その中にあって,私は会員各位のご協力をいただきながら,会館のIT化(電子会議システム,オンライン講習会),代議員制,公益法人化,東日本大震災調査団の構成と派遣,Soils and Foundations(S&F)のオンラインジャーナル化などの事業推進に役割を果たしてきました。これまでの経験を生かして,地盤工学会の今後に貢献したいと思います。

 学会事業の公益性の維持向上,コンプライアンスの遵守,透明性と情報開示の徹底,理事会による適正なガバナンスなど学会内部統治を確保したうえ,社会の人々から支えられる開かれた学会活動を行います。また,学会の活性化を図るために,若い方々を始めとする多様な人材に魅力を感じていただくことが大切です。多くの方々に参加していただき,精彩に富んだ学会に向けた方向性のもとで任期中の2年間に事業を推進します。

 以上を踏まえて,次の3項目を掲げます。すなわち,①国土強靱化に関わる学術・技術の振興,②地盤品質判定士を核とした技術者継続学習制度の構築,③S&Fを中心とする国際情報発信力のさらなる展開です。

①大震災の復旧・復興や来るべき豪雨・地震に備える国土強靱化に関連して,東日本大震災対応調査研究委員会活動などをもとに,今後の自然災害に備えるべく地盤工学の学術・技術をさらに振興します。2012年10月に刊行されたS&F震災特集号1st Issue掲載論文は,我が国の成果としては国際的にも注目されているところですが,委員会で得られた成果はS&F震災特集号2nd Issueに公開するだけでなく,住民の方々からの相談・助言にも反映させ,広く人々の安全・安心に資する活動に結実を図ります。一方,シニア会員のご協力も賜り,従来からの講習会・講演会を拡充した一般向けの講座・セミナーを通じた地盤教育の普及をはかり,公益法人として研究成果を今後の防災・減災の技術に役立てます。

②地盤品質判定士に関わる講習会・技術者教育を充実させ,地盤工学会員であることのメリットを強調します。具体的には,地盤品質判定士補や判定士取得の補助となる講習会・実務補習の整備です。こうした継続学習は,公益目的事業にも適うもので,社会におけるインセンティブの付与を推進します。上記の視点から,ゼネコン,建設コンサルタント協会,地質業協会などに在籍される方が「会員で良かった」と思える学会にしたいと考えます。

③地盤工学会の国際展開をはかるため,S&Fを通じた国際情報発信力による国際戦略を推進します。S&Fは月別論文ダウンロード数が各号とも12,000件前後を堅持し,アブストラクトアクセス数は多い号で60,000件に及びます。S&FのImpact Factorは1.238と大幅に向上し,Elsevier社のSJRあるいはSNIPといった論文引用指標値を含めて,いわゆる国際四大誌を初めとする有力な国際ジャーナルに肩を並べつつあり,投稿論文数も年間400編を超えています。また,海外定期購読者の大幅増を目指し,国際地盤工学会に対する地盤工学会のプレゼンスを示すことで,ひいてはTCの委員長・セクレタリ・コアメンバーに多くの地盤工学会員を派遣し,日本の存在感を高めたいと思います。

 以上のような展開は,全国支部との連携を図りながら推進します。地盤工学会の特徴であり,新しい時代を切りひらく糧でもある学際性を,さらに一層育み,次代を担う価値観の創成につとめたいと考えます。

末尾ながら会員各位のご指導,ご鞭撻とともに,ご支援をお願いいたします。